アルコール検知器は飲酒していなくても、反応してしまうことがあるというのはご存じでしょうか。
2022年4月に道路交通法が改正され、これまでは運輸運送業のみだったアルコールの測定義務が、仕事で車を使う多くの事業者でも必須となりました。自覚が無くともアルコールチェックにて検知器の数値が規定を超えてしまうと業務に支障をきたす場合もあるため注意が必要です。
この記事では、アルコール検知器に反応してしまう食品や飲料などの紹介とその対処法について説明します。飲酒運転の罰則や危険性についても掲載しておりますので、飲酒運転への危機意識を持ち、知識を深めるための参考にしていただければ幸いです。
目次
飲酒運転の罰則
飲酒運転をした人はもちろん、飲酒運転をする、していると知りながら車両や酒の提供、飲酒運転をしている車へ同乗していた人にも罰則があります。
行政処分
酒酔い運転(※1)
- 基礎点数 35点
免許取消し 欠格期間3年(※2,3)酒気帯び運転
- 呼気中アルコール濃度0.15mg/l 以上 0.25mg/l 未満
基礎点数 13点
免許停止 期間90日(※2)- 呼気中アルコール濃度0.25mg/l以上
基礎点数 25点
免許取消し 欠格期間2年(※2,3)(※1) 「酒酔い」とはアルコールの影響により車両等の正常な運転ができないおそれがある状態をいう。
警察庁Webサイト:みんなで守る「飲酒運転を絶対にしない、させない」
(※2) 前歴及びその他の累積点数がない場合
(※3) 「欠格期間」とは運転免許の取消処分を受けた者が運転免許を再度取得することができない期間
罰則
車両等を運転した者
- 酒酔い運転をした場合
5年以下の懲役又は100万円以下の罰金- 酒気帯び運転をした場合
3年以下の懲役又は50万円以下の罰金車両等を提供した者
- (運転者が)酒酔い運転をした場合
5年以下の懲役又は100万円以下の罰金- (運転者が)酒気帯び運転をした場合
3年以下の懲役又は50万円以下の罰金酒類を提供した者又は同乗した者
警察庁Webサイト:みんなで守る「飲酒運転を絶対にしない、させない」
- (運転者が)酒酔い運転をした場合
3年以下の懲役又は50万円以下の罰金- (運転者が)酒気帯び運転をした場合
2年以下の懲役又は30万円以下の罰金
飲酒運転の危険性について
アルコールには麻痺作用があり少量であっても、理性や判断をつかさどる部分、視覚や運動能力をつかさどる部分など、脳の働きが麻痺してしまいます。お酒に酔うと同じ話を繰り返したり足元がふらついたりするのも、脳が麻痺したことで起きる現象というわけです。
脳が麻痺してしまうと、安全運転に必要な情報処理能力や注意力、判断力などが低下してしまいます。具体的には、気が大きくなることでの速度超過、車間距離の判断を誤る、危険の察知の遅れ、ブレーキペダルを踏むまでの時間が長くなるなど、飲酒運転は交通事故を起こす危険性を高めてしまうのです。
飲酒運転の死亡事故率は、飲酒なしの場合の9倍という警察庁のデータもでており、飲酒運転による交通事故は、死亡事故につながる危険性が高くなります。
警察庁Webサイト|みんなで守る「飲酒運転を絶対にしない、させない」(https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/insyu/info.html)
飲酒運転は年々厳罰化されていますが、それでも飲酒運転はなかなか後を絶ちません。飲酒運転は自分の命だけでなく、人の命を奪う可能性もあります。今一度、飲んだら乗らないを徹底することが大切です。
飲酒運転のつもりがなくても反応が出てしまう?
アルコールチェックの注意点!
前日のアルコール
「〇時間空けたから大丈夫」「しっかり寝たからアルコールは抜けている」という自己基準には注意が必要です。
アルコールの分解速度には個人差があり、酒の種類や飲酒量、体調によっても変わります。いつもは大丈夫だからといって油断は禁物です。
また、一般的なアルコール検知器は製造業者により精度が異なるため、正確な測定ができないこともあります。実際の量より多く検知してしまうということもあるかもしれません。
仕事を失うリスクを冒してまで、飲酒をするのはやめておきましょう。
アルコール検知してしまう食品、飲料
- キムチ
- アルコール入りのお菓子
- 味噌汁
- あんぱん、蒸しパン
- 栄養ドリンク
- ノンアルコールビール など
味噌やパンなどの発酵食品、清涼飲料水や栄養ドリンクには製造過程で少量のアルコールが含まれていることがあります。
また、酒税法においてお酒と分類されるのはアルコール度数が1%以上の飲料です。そのため、1%未満ならノンアルコール飲料と表示することができてしまいます。
現在ではメーカーの配慮もあり、1%未満でもアルコール度数を表記しているものが大半ですが、外国産の飲料などその限りでは無いものがありますので注意が必要です。0.00%であるかしっかり確認しましょう。
2022年10月には、大阪府高槻市のバスの運転手が出勤前に「蒸しパン」を食べた事で処分されるという事件も報道されました。道路交通法が定める酒気帯び運転の基準値は超えていなかったものの、市内の規定を超えていたため懲戒処分となりました。
運転する場合は、上記のものは飲食しないようにしておくと安心です。
喫煙
タバコを吸った直後は口の中や肺に一酸化炭素が残っており、その影響でアルコール検知器が反応する場合があります。
喫煙者の方は注意しましょう。
医薬品類
- 口腔ケア用品
- 点鼻薬
- アルコール除菌スプレー
口腔洗浄剤は口内を消毒するため、アルコールが含まれているものが多いです。
歯磨き粉やマウスウォッシュなどを使用する場合は、アルコールが含まれていないタイプのものを選びましょう。
ケトン体
ケトン体とは、糖や脂肪を代謝する際に体内で自然発生する物質のことです。
エネルギー源として利用される物質ですが多くの種類があり、その物質を総称してケトン体と呼びます。ケトン体の中にはアルコール検知器に反応するものがあり、糖尿病や糖質制限、空腹時には反応しやすくなることがあります。
また、体質的にケトン体が出やすいという人もいるため、何度試しても検知器の基準値が超えてしまう、心当たりは全く無いという方は医師に相談してみましょう。
ケトン体が出やすい体質であることを自覚している場合は誤反応の少ない高精度のアルコール検知器を使用する方法もあります。
飲酒以外で反応が出た場合の対処法
口をゆすいで時間を置く
飲食や喫煙、口腔ケア用品は飲酒していた場合と数値の検出が異なり、口腔内に残ったアルコールが原因です。口をゆすいだりうがいをしたりして15分以上時間を空けることで、影響は少なくなります。
検知器の清掃
コロナ禍の感染症対策でアルコール除菌を行うため、アルコール検知器のセンサー部分が反応してしまうこともあります。検知器の息を吹きかける部分を清掃してみましょう。
アルコール検知器の故障
飲酒していないのに、アルコール検知されることが多かったり、数値が以上だったりする場合は、アルコール検知器の故障が考えられます。
アルコール検知器の定期的なメンテナンスを怠らないようにしましょう。
飲酒運転根絶への取り組み
ハンドルキーパー運動
自動車で飲食店などに行き飲酒する場合、グループの中でお酒を飲まない人(ハンドルキーパー)を決め、その人はお酒を飲まずに、飲食後、仲間を安全に自宅まで送り届けるという飲酒運転防止のための運動です。
最近では聞きなれてきた「ハンドルキーパー」。飲食店では、ハンドルキーパーに目印となるバッジを付けてもらって酒類を出さないような配慮をしたり、ソフトドリンクを無料で提供したりするサービスを行っている店舗もあり、多く周知されてきたようです。
飲酒運転ゴーグルの貸し出し
各自治体などで飲酒運転ゴーグルの貸出が可能です。
飲酒運転ゴーグルを着用すると、酒酔い状態(昼夜 飲酒量各3タイプ)の視界が疑似体験できます。反応時間の遅れ・視界の歪み・判断力の欠如を体感することができるため、飲酒運転の抑止に繋がります。
交通安全教育の定期的実施
交通安全教育の様々な教材が配布されています。交通安全教育を定期的に実施して、意識を高めておきましょう。
内閣府Webサイト|交通安全教育教材 https://www8.cao.go.jp/koutu/kyouiku/index.html
日本交通安全教育普及協会ホームページ |https://www.jatras.or.jp/
企業毎に実施し、アルコール検知器に反応してしまうような飲食物などについてあらかじめ伝えておくこと、飲酒以外で反応があった場合の対処法についても周知しておくことも大切です。
また、飲酒運転ではなくても、飲酒したことによる事故も多発しています。飲酒する際はお酒に飲まれすぎないように気を付けましょう。
例)
- 飲酒した後コンビニへ買い物に行き、途中で酔いがまわって車道上で横たわってしまい車に轢かれた
- 飲酒した後、帰宅途中に横断禁止場所を斜めに横断し、車両にはねられてしまった
- 電車のホームへの転落事故も半数は、酒に酔っていたことが原因
アルコールチェックの義務化
2021年、飲酒運転の白ナンバートラックが下校中の小学生の列に衝突し、小学生5人が死傷した痛ましい事故を受け、アルコールチェック義務化への取り組みも強化されています。これまで緑ナンバーの営業車のみだったアルコールチェックが白ナンバーへも拡大され、運転前後のアルコールチェックと確認、記録、保管が義務化されました。
詳しい対象車両や管理方法についてはこちらをご覧ください。
アルコールチェックの義務化とは?備えるべきポイントとアルコールチェック電話確認代行サービスについて紹介!
面倒、負担が増えるとの意見もありますが、そういう場合は外部へアウトソーシングするという方法もあります。アウトソーシングすることで早朝深夜や直行直帰の際も安心して任せることができますし、業務負担やコストの削減にも繋がります。
Step y’sのアルコールチェック代行サービス「アルゼロチェッカー」も大変ご好評いただいております。詳細についてはこちらをご覧ください。
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まとめ
飲酒運転の罰則や取り組みは年々強化されていますが、それでも飲酒運転や飲酒事故は後を絶たないのが現状です。一人一人が「飲酒運転をしない、させない」という強い意識を持ち、行動しましょう。意識を持つという意味では、アルコールチェックも自己管理のためには欠かせないものです。
「アルコールを摂取していないのにもかかわらずアルコール検知器が反応してしまうことがある」ということをまだまだ知らない方も多いため、広めていくことが大切だと言えます。