コールセンター 2024.05.02 2024.05.02

コールセンターにおけるカスハラとは?対応の方法と対策についてご紹介!

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近年、様々なハラスメントが取り沙汰されている中、接客の面で問題視されているのが、カスタマーハラスメント(カスハラ)です。

コールセンターにおけるカスハラ被害も年々増加傾向にあります。

カスハラを放置しておくと、様々な問題が発生するため、できるだけ素早く円満に解消したいものですが、どう対応したらいいのでしょうか。

この記事では、カスハラとクレームの違いや、コールセンターにおけるカスハラへの対処方法などについてご紹介します。コールセンターにおけるカスハラ対策でお悩みの方は、ぜひご一読ください。

カスハラとは?

カスハラとはカスタマーハラスメントの略で、商品やサービスを提供している企業の従業員に対して、消費者(カスタマー)が過剰な要求や不当な言いがかり、攻撃などを行うことです。

カスハラの一例として以下のような行動があります。

  • 殴る、蹴る、物をぶつける、服を引っ張るなどの身体的な攻撃
  • 暴言、侮辱、名誉毀損、脅迫、中傷、罵倒などの精神的な攻撃
  • 大声で話す、怒鳴る、手を振り上げるなどの威圧的な行動
  • 過度な謝罪、頭を丸めろ、土下座しろといった強要
  • 不快な言動や要求を繰り返したり、執拗に行う行為
  • 不退去、居座り、監禁など拘束的な行動
  • 差別的な言動
  • 性的な言動
  • 従業員個人を対象とした人格否定、身体的特徴を侮辱するなどの攻撃や不当な要求

上記の他にも提供する商品やサービスに不備や不具合が無い場合や、関連が無いにも関わらず、金銭や謝罪の要求、商品交換の要求をするなど要求内容の妥当性が不相応とされる場合もカスハラに該当します。
このような行為は、顧客としての正当な権利を超えており、適切な対応が求められます。

カスタマーハラスメントの被害は年々増加傾向にあり、厚生労働省が令和2年に調査したハラスメントの該当件数アンケートにおいて、「顧客からの著しい迷惑行為」を受けた企業が92.7%にのぼる、という結果も出ています。

出典:カスタマーハラスメント企業対策マニュアル:https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000915233.pdf


不当かつ悪質なカスハラは、企業運営に大きな支障が出てしまう可能性があり、企業は適切な対処を行う必要があります。

カスハラとクレームの違い

カスハラよりもクレームの方が聞き覚えがある方も多いと思われます。

本来クレームとは「請求」「要求」「主張」という意味を持つ英語「claim」から来ており、「顧客がサービスを受けた際に何らかの損害が発生したことについて請求」することと言われています。

また、「苦情」という言葉もありますが、苦情は「サービスに不満を感じた顧客がその不満を表す行為」のことを指し、本来クレームとは別の意味合いの言葉です。
現在ではどちらもまとめて「クレーム」と言われることも多いです。

クレーム(苦情)の中には品質改善のヒントにもなるものも含まれていたり、的確な対応によって結果的に企業イメージや売上向上のきっかけになる場合もあるため、悪い意味で捉えられてしまいがちな「クレーム」という言葉を避け、「ご指摘」として受け入れている企業もあります。

しかし、カスハラはクレームがエスカレートし、不当または過剰な要求がある迷惑行為でしかありません。お客様が企業に指摘した内容が、商品やサービスに関係ない・過失がない場合は明らかなカスハラだといえます。

商品やサービスに問題があり、商品交換や金銭での保証、謝罪を求めることはクレームですが、必要以上の金銭の要求や全くの言いがかりなどに発展した場合もカスハラです。

たとえ主張する内容に正当性があっても、暴力や暴言、長時間の拘束や謝罪の強要など主張方法に問題が出てしまった場合もカスハラだといえるでしょう。

カスハラ増加の背景

スマートフォンをみながらムキになる人物

SNSの普及により、消費者のだれもが商品やサービスを評価し、大勢の人に発信できるようになりました。

1人の発信が大きな影響を及ぼす場合もあるため、企業側も消費者の目を気にするあまり、要求に応えることによって消費者がそれに慣れてしまったり、「私が変えた」という成功体験の繰り返しによって要求レベルが上がっていることがカスハラ増加に繋がっていると考えられます。

過去には顧客が店のスタッフに土下座を強要し、撮影した動画をSNSに公開。動画は瞬く間に拡散され、投稿者の個人情報の特定、逮捕に至ったケースもあります。

本来は商品やサービスを提供する側と受ける側は対等であるはずですが、中には「お客様を神様扱いしろ」という態度の方もいらっしゃいます。

「お客様は神様です」という言葉は歌手の三波春夫さんが下記の意味合いで発言していたものが始まりとされています。

『歌う時に私は、あたかも神前で祈るときのように、雑念を払ってまっさらな、澄み切った心にならなければ完璧な藝をお見せすることはできないと思っております。ですから、お客様を神様とみて、歌を唄うのです。また、演者にとってお客様を歓ばせるということは絶対条件です。ですからお客様は絶対者、神様なのです』

引用:三波春夫オフィシャルウェブサイト「お客様は神様です」について
https://www.minamiharuo.jp/profile/index2.html

本来であればサービスを行う側の心構えとしての素晴らしい言葉であったはずですが、残念なことに自信に都合の良いように解釈してしまっているケースあるようです。

国や自治体・企業でも対策を実施

令和元年6月に、労働施策総合推進法等が改正され、職場におけるパワーハラスメント防止のために雇用管理上必要な措置を講じることが事業主の義務となりました。
いわゆる「パワハラ防止法」と呼ばれているものです。
この改正を踏まえ、令和2年1月には、「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」(令和2年厚生労働省告示第5号)が策定されました。

顧客等からの暴行、脅迫、ひどい暴言、不当な要求等の著しい迷惑行為(カスタマーハラスメント)に関して、事業主は相談に応じ、適切に対応するための体制の整備や被害者への配慮の取組を行うことが望ましい旨、また、被害を防止するための取組を行うことが有効である旨が定められています。

厚生労働省WEBサイトではカスタマーハラスメントの対策マニュアル・リーフレット・ポスターを公開し、悩み相談室も開設しています。

厚生労働省サイト「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」等を作成しました!https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_24067.html

引用:ハラスメント悩み相談室。職場のハラスメントでお悩みの方へ
https://harasu-soudan.mhlw.go.jp

東京都の有識者会議では、2024年4月22日にカスタマーハラスメントを防止する条例の制定に向け、提言をまとめました。
都は、カスハラの防止条例を全国で初めて制定する方針を示しています。

東京都が方針を示したことをきっかけに、各地方自治体でもカスハラ防止に関する条例の策定が行われることが予想されます。

企業でもカスタマーハラスメント防止に取り組む姿勢を示すために、声明を発表したりウェブサイトでの方針の掲載が増加しています。
カスハラ防止に取り組むことによって、従業員を守り、結果的に質の良いサービス提供につながるという認識が浸透しているようです。

コールセンターにおけるカスハラとは?

怒鳴られて驚くオペレーター

近年、人手不足や新型コロナウィルスによる影響で実店舗が減少してしまい、企業への問合せを電話やメールで行う機会が増えています。

特に企業に不満があるがどこにぶつけていいかわからない場合、手っ取り早い電話の窓口に問合せが集中してしまうことが多く、コールセンターのオペレーターはカスハラ被害に合いやすい状況になります。

コールセンターは、電話越しでの対応となるため、直接顔を合わせることがありません。店舗と違い、相手の顔が見えず自分の顔は見られない、他のお客様の目線も無いため、消費者がヒートアップしやすい傾向にあります。

そのため、大声で怒鳴ったり、「名前を覚えたからな」「今からそこに行くぞ」という脅迫、暴言、過度な金銭の要求や誹謗中傷など様々なカスハラが、コールセンターのオペレーターを苦しめています。

コールセンターのカスハラを放置しておくリスク

リスクイメージ

業務生産性の低下

カスハラは長時間にわたり1本の電話に拘束されたり、何度も同じ人物から電話がかかってきたりと時間を搾取されてしまいます。そのせいで、他のお客様への対応の遅れや本来の業務への支障が発生してしまうのです。

生産性の低下や残業の増加、対応件数の低下など、カスハラにかかりきりになることで業務の遂行に悪影響が生じてしまいます。

スタッフの精神的負担の増加

カスハラ対応への精神的負担はかなり大きく、スタッフが疲弊してしまい、離職や休職に繋がるということも珍しくありません。

不当な要求や不快な言葉にストレスを感じることによって、仕事の意欲が低下してしまう原因となるのです。

企業のイメージが下がる

カスハラがエスカレートして誹謗中傷が拡散されれば、それが事実でなくとも企業に対して悪いイメージが定着してしまいます。

悪い噂は、SNSなどですぐに拡散される傾向にあるため、早急に対処しなければ今後の企業の存続を左右する可能性もあるのです。

責任問題が発生する

企業は従業員の安全に配慮しなければなりません。

お客様からのカスハラが認められた場合、内容や状況に応じて適切に対応し、体制を整えられなければ安全配慮義務違反にあたります。

相談窓口を設置して、従業員に周知するということも大切です。

コールセンターにおけるカスハラへの対応方法

笑顔のオペレーターと管理者

通常のクレーム対応を行ってみる

カスハラとクレームの線引きは難しいため、まずは通常のクレームと同じように対応を行いましょう。いきなりカスハラだと決めつけてはいけません。

お客様が何らかの理由で不快な想いをしてしまったのは事実ですので、お客様の心情に寄り添い、クレームの内容をしっかり把握した上で、対応を行います。

うまくいけば問題が大きくなる前に、収まることもあるでしょう。

通常のクレーム対応の手順や心構えについては、下記の記事に掲載しておりますのでご確認ください。

クレーム対応イメージ
コールセンターのクレーム対応の重要性と電話応対のコツ

解決策の提案

たとえ理不尽な要求であっても、お客様側とコールセンター側で折り合いがつく解決案を模索してみましょう。

不当だと思うこともあるかもしれませんが、常識の範囲内で円滑に解決できる道があれば、最善の策だと言えます。

時間を置く

カスハラは、怒りで冷静な判断力を失っているということも多いです。

少し時間を置くことでお客様が落ち着き、怒りが抑まることもあるかもしれません。
「後ほどかけ直す」という案内を行い、一度電話を切ることも効果的です。

オペレーターを交代する

対応するオペレーターを交代することで相手が冷静になることもあります。

カスハラは対応するオペレーターが一人で問題を抱えずに、組織として取り組む必要があり、一人で対応しない仕組み作りが大切です。

上司や他のオペレーターに、すぐに助けを求めることができる環境を整えておきましょう。

対応内容を共有する

クレームやカスハラの対応内容は他のオペレーターへ共有することで、事前にイメージしておくことができ、対応したことのない事象でも焦らずに応じることができるようになります。

可能であれば、遭遇した場合の対処法も共有できると良いでしょう。

毅然とした対応をする

いくらこちらが話しても解決しない、相手がヒートアップしてしまい聞き入れてもらえない場合は「大変恐れ入りますが、これ以上の対応はできかねます。」と伝え、こちらから電話を切ってしまう決断も必要とされます。

また電話がかかってくる場合も同じように毅然とした対応をすることで、相手も落ち着く場合があります。

コールセンターにおけるカスハラへの対策

守るイメージ

対応マニュアルや社員研修の作成または見直し

カスハラの電話を受けた際の、対応マニュアルやフローを定めておきましょう。

エスカレーションを行うタイミングや相手への伝え方を決めておくと、オペレーターが迅速な判断を行えます。同時に、カスハラを想定した研修を行うことで、オペレーター一人一人がクレームにも適切に対処できるようになります。

無理難題はきっぱりと断り、毅然とした姿勢で対応することも大切です。

通話音声の録音

通話音声の内容はカスハラ被害の明確な証拠となりますので、こちらの正当性を訴えるためにも録音しておきましょう。録音はお客様の怒りの原因が何なのか、後で分析する際にも役立ちます。

また、電話を受けた時に録音しているという旨を伝えておくと、その後理不尽な要求をしづらくなるため、カスハラ対策にも繋がります。

スタッフのストレス対策

カスハラだけでなくクレームに対してもそうですが、オペレーターを対象とした相談窓口を設置したり定期的な面談を行ったりして、スタッフのストレスのはけ口を作ることも大切です。

オペレーターが一人で抱え込むのではなく、コールセンターとして一丸となり対応を行いましょう。情報の共有や職場環境の改善を行い、オペレータのフォローもしっかり行うよう心掛けてください。

場合によっては法的処置

明らかな脅しや暴言、カスハラの悪化がみられる場合は、警察や弁護士へ助けを求めましょう。弁護士を通して話をすることで、相手が落ち着く可能性もあります。

脅迫・恐喝罪にあたる場合は、法律に基づいた対処を行う必要があります。
万が一に備え、事前に相談できる弁護士がいると安心です。

コールセンター業務をアウトソーシングする

カスハラへの対処が難しい、オペレーターのケアまで行き届かないという場合は、コールセンター業務のアウトソーシングを検討してはいかがでしょうか。

お客様の対応を経験豊富なプロのオペレーターに任せることでお客様満足度が向上します。自社スタッフはコア業務に集中させることができるので、業務効率化・コスト削減が期待できます。

カスハラ対策でお悩みのコールセンターはステップワイズへアウトソーシング

笑顔のオペレーター

カスハラ対策でお悩みの企業様は、コールセンター業務をステップワイズへお任せください。

貴社専用のコールセンターを開設し、電話受付やお問合せ対応、クレーム、その他ご要望に応じた電話窓口対応を行います。
電話番号は現在の番号を転送または、新たに専用の電話番号を取得することも可能です。

アウトソーシングすることでカスハラ対策はもちろんのこと、電話対応のお悩みは解消され、スタッフの負担改善や人員コスト削減、応対品質とお客様満足度の向上に貢献します。

カスハラ被害を受けた際の対応方法やフォロー体制を整え、オペレーターには日々研修とロールプレイングを実施してさらなる品質の向上に取り組んでおります。

貴社に代わりに経験豊富なステップワイズのオペレーターがカスハラにも対応し、柔軟な受け答え、最善の対処を行います。

お見積りは無料ですので、お気軽にご相談ください。

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まとめ

コールセンターはカスタマーハラスメントの標的になりやすく、日々業務をこなしていると思いもよらないカスハラ被害に遭遇してしまう場合もあります。

事前にカスハラ対策を行っておき、カスハラ被害に巻き込まれた際もすぐさま適切な対処が行えるようにしておきましょう。

自社の尊厳と従業員の安全を守ることも、企業の使命です。

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